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☆< プロジェクト・ヘイル・メアリー >

面白かった。相当面白かったと言っていいんだが、
――事前に知っていたら良かったなーと思ったことがいくつかあった。

1.「ヘイル・メアリー」の意味。
ヘイル・メアリー=アヴェ・マリア。
転じて、完全な負け試合における最後の(神頼みの)反撃。

2.話の密度。
がっつり密度の高いSFを原作にした映画だと思って見に行ったのだが、
……多分原作はそうなんだろうけど、さすがにそれを映画にするのは難しかったんだろう。
序盤の話の流れが怒涛すぎてまったく納得出来なかった。
それが相当後まで響きましたねえ……。

話が落ち着くまでは「そんなもんだ」と思って見ることをおすすめします。
ついでに言えば、ラストもそんなもんだと思った方がいいかも。

それでは、ネタバレを含んだ感想です。

 

 

 

 

 

 

 

よ。

 

 

この作品は、

1.映像美。
2.とあるキャラクターがぶち可愛い。
3.……3番目なんだっけ?なんかあったんだけど。あ、思い出した。コミカル要素。

が素晴らしかったですね!

1.映像美。

美しい映像というのはよくある。実際こないだの「木挽町のあだ討ち」でも
画が美しかったし。そういうの好き。
だが本作では、今まで見たことがなく今後も見ることがないであろう方向性の映像を
見せてくれて、それが良かった。本作唯一無二の価値といってよろしかろう。

まず提供のCMからの繋ぎが「やるじゃん」だよね。映像と音が非常に上手い。
あとは宇宙とエリドの宇宙船が非常に美しいよね。
人間とまったく違う価値観――価値観というか、環境によって形作られた造型は
想像するのが大変難しいものの一つだと思うが、その課題によく応えたデザイン。

これは原作のテガラですか?映像のテガラですか?
地球人がカプセルを作るとしたらツルンとした卵型が基本になると思うが、
ロッキーは縦線アリアリのごつごつした造型のものを作るのね。
そしてそれがグロテスクじゃなくて美しかったもんね。「人外」だとグロテスクに
作りがちなところ、美しく作っていてそこが大変良かった。

エリドの距離を表す模型も美しかったもんね。
美しさとともに、最初のメッセージとしてそれが来るのか!と驚嘆した。
情報量が多い。もちろん位置を示すものだし、ホームを教えることで、敵意のなさを
表している。わたしなんか性格悪いから「もしかして嘘なのでは?」と考えたが、
そうではなかったようだ。

2.キャラクター。

キャラクターは、いうまでもなくロッキーです。
あれ、WALL・Eみがあるよねー!可愛くて可愛くて。
最初見た時はやっぱり人外はクモなんかい!と思ったが、材質が岩石だし、
結果的にとても可愛かったから良しとする。
これがほんとにクモだったら2時間半見てられませんよ。

最初の邂逅でニンゲンのフィギュアを出してくるところで泣いた。
人格(岩格?)に優れているんだろうなあ。予期せぬ「未知との遭遇」でしょう、
ロッキーにとっても。そこで相手のフィギュアを作るところに優しさがある。ほろりとする。

字幕版で見られてほんとに良かった。実は吹替だと思い込んで行ったんだよね。
わたしは洋画を基本絶対字幕で見たい人なのだが、時間的に吹替えしか見れないや……と
残念に思っていた。が、実際は字幕だった。先週と入れ替わってるかも。

吹替えで魅力的になる作品も多々あるとは思うけれども、良くても悪くても台詞は
本人の声で聴きたい。正直、グレースが選んだコンピュータ音声はわたしにはピンと来ず、
グレースの声質とちょっと似てたのもあって「これがいい!」とも言い難いのだが、
あんまり可愛いコンピュータ音声を選ぶのも、グレースの判断としては違う気がするしね。

タウeの重力圏脱出のシーンでは、「もしロッキーが死んじゃったら、今世紀最大の
トラウマになるだろうが~~~~~!」と具合悪くなりながら見てました。
話としてそうなるはずはない……!と思ったが、アメリカ映画は主人公は不幸にしないけど、
大事な人を殺してしまうとかたまにやるじゃないですか。
生きててロッキー~~~!と心で叫ぶ。

3.コミカル要素。

結局本作は重厚なSF超大作として見るよりも、映像美を見せるための中粒、という
意識の方が正しいのかもね。SF超大作というにはストーリーがハチャメチャだからさ。
最初の方なんか、その辺のワンクールアニメかと思うような流れ。

理論家と実験の腕は違うし、何の情報も与えずに分析させても時間の無駄になるだけだし、
ヘタしたら未知のなんだかと試料が化学反応を起こしてとんでもないことになりますよ!
大人が見るにはツライ話だった。

あの話で何とか本筋を保てたのは、ひとえにザンドラ・ヒュラーなる女優さんの説得力。
序盤部分は、彼女に98%を負っている。この人じゃなければ多分投げてる。
そうすると本筋のグレースとロッキーの友情物語までたどり着かないので、
映画を成立させたのは彼女のテガラ。

まあ手柄でいえばもちろんライアン・ゴズリングも。
わたしこの人、初なんですけどね。「ラ・ラ・ランド」はテレビ録画して見て
最初の10分くらいで脱落――多分そのあまりのアメリカ成分に――
「君に読む物語」は見ていない。名前はよく聞きますが。

この人のテガラはまずずっと見続けて飽きない嫌味のなさだね。
何しろ出ずっぱりですから。この2時間半の映画で、ザンドラ・ヒュラー以外は
ほぼモブ的な役しかいない映画での主役ですから。これで癖があったら辛かろう。

そして、無生物相手の軽妙なやり取り。これさー、撮影しているところを想像すると、
多分グリーンバックかそれに準ずるものでの演技がほとんどを占めてると思う。
そこで演技をするのは難しいと思うのよ……。
全然意識しなかった。ロッキーに感情移入出来たのは、ゴズリングの演技のおかげ。

 

まあ序盤とラストへの山のようなツッコミは……カンベンしてやろう。
これどうすんの?ハッピーエンドに出来るの?と思いながら見ていた。
そしてラストで、「そうはならんやろ!」と内心叫んだが、カワイイから良しとする。
ほど良き折を見て地球に帰ってください。ザンドラさんとカールが生きている間に。

面白い映画でした。だが、ストーリーには期待しすぎないように。

原作は数カ月前に読むことは決めたんだけど、そこから実際に読むまでは
多分8年くらいかかります。課題図書リストが長いのよ。
まあ映画の内容を忘れた頃に読むことになってちょうどいいかもね。

 

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